未だ減らぬ治療時機を逸して死亡した頭部外傷

未だ減らぬ治療時機を逸して死亡した頭部外傷

昨日患者から友人が意識障害を伴う頭部外傷を負ったが、病院で問診以外何もせず帰され、数日経った今も意識障害を伴うのだという相談を受けた。

数年前も柔道の練習中に頭を打って気を失った高校生が、病院へ行き帰宅したのち死亡した事がありニュースになった。 その事件を重く見た政府が柔道の協会に調査をさせた結果、過去数年間に同じようなケースで死亡した高校生が数人いたという。

以前ある医療レポートで、当時小学6年生の男児が自転車を運転していてタクシーと接触事故を起こし、救急車で脳神経外科を標榜する救急病院に運ばれたケースが報告されていた。

自ら歩いて診察室に入り、意識は清明。 担当医(専門は消化器外科)は念のため頭部X線写真を撮り、化膿止めの処置のみを行って帰宅させた。ところが、受傷6時間後に容態が急変し、別の病院に救急搬送されたが、すでに心肺停止状態で死亡に至った。

裁判にもなり、当然頭部外傷すべてにCTを撮るべきなのかという議論になった。  

頭部CTを撮る際の基準は、意識障害が認められる時、外観上頭部に明らかな外傷が認められる時、一見正常であるが念の為という事になるのだが、今回の例はまさに三つ目に該当。 診察時に神経学的異常所見はないと判断し、CTを撮らずに帰宅許可を出したこと自体には、大きな過失はないものとはなった。

しかし、、「一見正常ではあるが、帰宅させる際に医師・患者双方にとって安心であるので、念のためにCTを撮っておこう」 という行動担当医が起こしていたならば、おそらく少量の血腫、または頭蓋骨骨折が確認され、そのまま入院となるか、手術の可能性を考えて後方病院への転院が検討され、今回のような悲しい結果には至らなかっただろう。

連日何度も言うが、安全と健康は全てにおいて優先する。 どんな立場の人間だろうと、皆が念頭に置いて行動していれば未然に防げるトラブルは倍増するのである。 安近単で病院は選ぶ物では無く、また医療は患者を一番に行うものである。 肝に銘じろ。