指導者が治療する危険

指導者が治療する危険

この3年、あるパターンでやってくる患者が増えてきた。

事の発端はもうかれこれ5年ほど前の話し。 膝が痛いと言ってやって来た女性がいた。 とてもまじめで謙虚なその女性、実はウチを訪れる1年ほど前にも同じように膝が痛くなった事があったらしい。 その時はとあるスポーツジムのトレーナーが治してくれ良くなったという。 危険はここから始まった。

最近まったく同じようなケースでやってくる患者が毎年増えている。一度はジムの指導者、トレーナーで良くなり治る。 いや、実際は治っていないのだが、抑え込まれる。 解剖学的な理論ではおおむね間違えではないのだが、直すと治すの差が大きく存在している事に患者側はもちろん、指導する側もまるで気が付いていないのだ。 しかも得てしてその指導者のトップが非常に名の通った人間で、その場合だと更にマズイ。

構造的に筋肉だ関節だと、日々お勉強をすればするほどその真理からかけ離れていく。 治療の勉強をしていない者が治るといい手を施し、それで少しでも良くなる楽になると治ったという。 そして数年後再発し、他のところへ行かれたら間違えていた事実に永遠に気がつかぬ。 これは昔からすべての医療人の宿命であり、であるからこそ常に自問自答する。 理論や理屈を念頭になどとは決してならない。

ちょっとばかり肩の動きが良くなったり、膝が痛くなったくらいを、さも武勇伝のように語ってはならないのである。 そんなの毎日ラジヲ体操していれば良くなるレベルと大して変わらぬのだ。

指導者とトレーナー、治療家はそれぞれ立場・役割はまるで違う。 施す前に今一度多くの現場の人間に自分の立場を見つめなおしてほしい。