ヘルニア

ヘルニア 

月に何十人も、過去振り返ったら何千人も 「自分はヘルニアです」 と言う患者に会ってきた。 

MRIの項http://www.kakio.com/archives/2014/04/26-0813_journal.php)でも同じこと書いたのだが、椎間板ヘルニアに対するMRIの診断的有用性については85%以上で意味がなさない事が世界中の医師で常識になっている。

そもそも考えても見てくれ、自分はヘルニアですと自分で言ってる時点で治っていないのだろう。 ヘルニアならばヘルニアの治療うけている時点で治っているはず。 治療が悪いのではなく、そもそもの診断が間違えている。 なぜなら腰痛の無い健常な人間でも85%以上が腰椎椎間板が潰れているのだから。

では何故自分は痛いのだ?! と思うのだが、それをどんなに丁寧に分かり易く説明しても、半数以上の患者がその話しを理解出来ぬ。 それは専門的で話しが難しいと言うレベルでは無く、懐疑的な気持ちがぬぐえず話しに耳を傾けているからなのだ。

それはヘルニアに限った事では無い。  高いお金をはらってわざわざ来たのだから、今までと違うものを手に入れたくて来たのだから、頭をからっぽに気持ちを入れ替え、新たな考え思考で話しを聞き、自分と向き合うべきなのだ。 それが出来る者と出来ぬ者で治療の結果が180度違って来る。 たとえそれが捻挫程度であったとしても。

仮に脊髄の圧迫が原因だったとしよう。 そもそも脊髄は非常に柔らかく脆いため、周囲の骨や軟骨、硬くなった靱帯などで圧迫されると容易に損傷を受ける。 その脊髄を輪切りに断面図を見てみると、脊髄の中でも前方・側方・後方で、場所によって走っている神経も違うのだ。

転倒や交通事故、むち打ちなどで頸椎を痛めてやって来たとしよう。 前方には外側脊髄皮質路があり主に運動を、側方は外側脊髄視床路があり主に表在感覚(温覚、痛覚、触覚)を、そして後方に後索があり主に深部感覚(位置覚、振動覚、識別覚等)をつかさどっている。 ちょっとした事で痛みやしびれが出ても当然。 外側の圧迫で脊髄から分岐する神経根のみが障害されると神経根症、俗言う頸椎ヘルニアは罹患神経根の支配領域のみのしびれや痛み、運動障害で済むため、多くの場合で手術をせずに治癒するのが定説である。 当然それは解剖学的に考えれば腰椎でも同じ事。 指に刺さったとげと同じである。

例え原因が小さくても努力は同じ。 むしろ今まで長年無視し続けた分、その努力は大きいかもしれない。

最後に一つ、痛みやしびれを治す!と言っている先生に是非質問をしてもらいたい。 感覚と知覚はどう違うのか? と。

感覚は内外の刺激に対応する受容器でとらえて感じることであり、知覚は感覚からの情報で状態を把握して分別することだと、即座に応えられる先生を最低限探せば、きっとあなたの痛みやしびれを解決してくれることだろう。