治療のゴール。

治療のゴール。

珍しく三回に分けて書いてみた、運動器慢性痛。 今回が最後なのだが、ここで改めて考えてもらいたい。 

治療のゴールとは何か?!

運動器慢性痛の理想のゴールは 『動かしても痛くない』 である。 だがその症状が急性期疼痛では無い場合、痛みを取ることを治療のゴールにすべきではない。 慢性疼痛の痛みとは、その痛みが強く脳に記憶される事もあり、 さまざまな刺激や環境の変化、例えば風が吹いても当たっても痛いと言うように、脳での痛み経験を引き起こしてしまう。 不安、抑うつ、ストレスなどが重なることで痛みは強くなり、長期化を引き起こしてしまう。

治療への取り組みとして最も問題なのは、痛みをとる事だけが人生の目標になってしまっている事。 痺れもそうだが、とにかくこの痛み、痺れだけを何とかしてくれ!となる事。 頭の中が痛みだけに支配されてしまう。 まだ多少痛いが、以前より走れるようになった、ゴルフに行けるようになったと、痛みがあっても何とかできるようにしていくことこそ価値が高いのである。 ある著名な先生が 「痛みのある"人"と痛みのある"患者"は違う」 と言っていたそうだ。

患者が痛みの訴えを声を大にして言うからと言って、痛みをごまかすような対処療法でその場しのぎの治療などせず、その患者、症状に合った目標設定をお互いでする事こそが、運動器慢性痛治療に最も重要な事であると言えるのだ。 

特に我々民間療法の人間は、たとえ患者が疲れをとって欲しいと言ったとしても、目標設定を考えず、ただ揉んだり歪みがうんちゃら言っているようでは、それは治療では無く癒しであり、鍼灸でも整体でも、もちろん柔整でも無く、治療家とはほど離れた、癒し家なのである。

 

さて、長々3回に分けて読んで頂き有難う御座います。 勿論このような文章、小生が全部考えた訳では無く、多くの部分を治療の最前線で働かれている明敏な先生のコラムを参考にさせて頂いた。 そんな素敵な先生が世の中にまだまだ沢山いらっしゃる事を、とても素晴らしく思うと同時に、それをじゃなするような、医療の質や意識を下げるような事を、治療医療に携わる人間は決してしてはならないのだと、改めて考えさせられた。 何事も知識ではなく、意識なのである。