腰痛の手術の前に理解せねばならない事。

腰痛の手術の前に理解せねばならない事。

今週は何度かに分けて、本来我々が専門とする治療の分野、運動器疾患について書いてみる。

運動器とは、身体活動を担う筋・骨格・神経系の総称で、筋肉、腱、靭帯、骨、関節、神経(運動・感覚)、脈管系などの身体運動に関わるいろいろな組織・器官により構成される機能的連合のことである。 この運動器に生じる慢性的な痛みが今とても問題となっている。

運動器の慢性痛は、我が国日本でも4人に1人、耐えられない痛みを10とするVASで5以上の疼痛が6ヵ月以上続く人の比率であるが、年齢分布をみると30代~50代で高く、部位別には腰、肩、頸に多いと報告されている。

しかしその治療に対しての患者の満足度は非常い低く、ある調査で病院や診療所を受診した人が19%、鍼灸マッサージなど民間療法を受けた人が20%、両方にかかった人が3%、残りの55%は治療を受けてないともある。 さらに治療を受けた人の満足度は低く、治療機関を変更した人が49%いた。 変更の理由として、「前の治療機関に満足できなかったから」との回答が40%もあったそうだ。

たとえば腰椎の手術を受けたことがある2,035人に行ったインターネット調査では、手術前に腰に痛みがあった人が94%いた。 「手術によって腰の痛みはどのように変わりましたか」という質問では、「手術後に消失した(25%)」、 「手術後に軽くなった(64%)」、 「手術後も変わらなかった(9%)」、 「手術後に強くなった(2%)」 という結果となった。 このデータから手術を受けても痛みが残っている人が75%もいることにもなる。

ここで医師が言う一番の問題点は、腰椎手術の目的が患者さんに十分理解されていないという事だそうだ。

本来、腰椎手術の目的は第一義的には腰痛の改善ではなく、脚や膀胱、直腸などの腰部の神経系の機能障害の改善であり、QOLの向上、通常の生活が営めるようにすることである。 しかし、多くの患者さんが手術で腰痛が全て解決されると思っている。 ようは医師サイドが考える手術目的と、患者さんの理解にズレが大きくあるのである。

手術で少なからず腰の筋肉に侵襲を与えれば、その結果痛みも出てくる可能性はある。 しかし、手術を受けても腰痛はまだ少し残るかもしれないが、以前は歩けなかったのが手術により歩けるようになっている。 このことを術前に外科医が十分に説明し、患者への理解を高める努力を、より一層しなければならないのである。

実はこの点の説明、小生も年に何人もに対しするのであるが、コレがなかなか苦戦する。 時として担当医と言っている事が違うと患者が言い出す始末。 医師の言っている事が間違えているのではなく、多くのケースで患者側の理解度が低いのだ。

まぁ、それそのものが仕事と考えれば仕方が無い事なのだが、非常に多くの時間とストレスをこちら側も抱える事になる。 だが決して避けず、患者ととことんまで向き合い、話し合いを続ける。 それこそが、昨今の食品偽装で問題されているのと同じな、治す風、まごころ風な、ナンちゃって癒しコンビニ治療院と、本物の治療院との違いであると小生は考える。